子どもの咳★小児科ナースが教えるホームケア from アメリカ★


熱もなく元気なんだけど咳が出る…ということが子どもはよくありますよね。特に気温が下がる秋冬への季節の変わり目にはよくあると思います。
近年はコロナかもしれないと心配する方も多いですよね。
今回は、検査でコロナは陰性だった場合を前提とした、子どもの咳が出ているときのホームケアについてお伝えします。ただ、基本的にはコロナであっても咳の症状があればホームケアは同じです。
目次
子どもの咳とは
咳は外部からの異物(ウィルス、ほこり、煙など)を気道から取り除こうとする生体防御反応です。

咳の原因
咳の原因は様々あり、風邪のようなウィルス感染、鼻炎などの炎症、アレルギーなど、その他にも多くあります。子どもの場合、鼻水が刺激となって咳が誘発される場合も多くあります。他のサイトにたくさん原因の詳細については書かれていますので、ここでは割愛します。
受診の目安
咳があっても元気であれば早急に受診する必要はありません。
下記にあてはまる場合には受診しましょう。
①熱があってぐったりしている
熱があっても元気であれば早急な受診は必要ありません(子どもの発熱時のホームケア参照)。
咳があり、熱とともにぐったりしていれば受診が必要です。また熱がなくても咳が酷くぐったりしていれば受診した方が良いでしょう。
②呼吸が苦しそう
咳とともにぜーぜーしている、努力呼吸(肩を上下させる呼吸、鼻の穴が呼吸と同時に膨らむ、みぞおちのあたりが呼吸に合わせてペコペコする)がある、顔色が悪い、唇の色が悪い(口唇チアノーゼ)という場合には喘息発作や肺炎の可能性もあるので、夜間でも早急に受診しましょう。努力呼吸の見方はこちらの動画がわかりやすいです。
③1週間以上咳がつづいている
適切なホームケアを行っていれば、通常の風邪であれば1週間程度で咳はおさまってきます。1週間以上にわたって軽快しなければ受診しましょう。
④咳とともに熱が上がったり下がったりしている
受診しようかなと思うと熱が下がるため様子をみていたという患者さんがいます。熱の上下は肺炎などの可能性もあるため、咳が出ていて熱の上がり下がりがみられる場合には受診しましょう。
⑤動物の鳴き声のような咳をしている
ケンケン・ゴーゴーというような犬やオットセイのような咳が出るときには上記の呼吸が苦しそうという点にもあてはまると思いますが、クループ症候群の特徴的な咳である可能性もあるため、受診した方がよいでしょう。
⑥6か月以下の乳児が長い咳をしている
百日咳というのをご存じでしょうか。3か月の頃から4種混合ワクチンを接種すると思いますが、そのひとつが百日咳です。ワクチンを打っていても罹患することがあります。コンコンコンコンと連続した長い咳(けいれんのような咳)が特徴です。乳児の場合は死に至ることもあるため、このような咳の場合には受診しましょう。百日咳の様子はこちらの動画がわりやすいです。
子どもに咳が出ているときのホームケア
子どもに咳が出ているとき(ホームケアに関しては大人でも同じです)は、加湿が大切です。また部屋を綺麗にして清潔を保つことや鼻汁吸引・内服によって咳の原因を取り除くこと、安楽な体勢で寝かせてあげることで体力を回復させてあげることが大切です。
加湿
咳が出ていない時でも、咳や風邪の予防として加湿は何よりも大切です。特に冬場は空気が乾燥しています。気道粘膜は乾燥に弱く、乾燥状態では感染リスクも高くなります。日常的に加湿器を使用して適度に保湿を行いましょう。加湿器がなければ濡れたタオルを置いておくだけでも違います。
アメリカの家ではメインベッドルームの横にバスルームがついていることが多くあります。バスタブにお湯をはってドアを開けて寝るのも加湿の効果があります。
清潔
咳の原因のひとつであるアレルギーはハウスダストやほこりによるものも多くあります。ほこりをためないようにこまめに掃除をして清潔を保つことが大切です。また、乳幼児のいる家庭では特に、絨毯よりもフローリングを選択しましょう。絨毯を使用する場合も毛の長いものではなく、ほこりが少なくなるものを選ぶとよいでしょう。
就寝時の体勢(寝かせ方)
咳をしているときには、上半身を少し挙上させてあげると、呼吸が楽になります。特に子どもは、枕は使用せず、肩の下にタオルを1枚丸めていれてあげると気道が広がり呼吸が楽になります。
内服薬
受診せずに咳止めシロップなどを購入して飲ませることもあるかと思います。しかし、子どもの咳に効果的な薬はないと思って良いと思います。処方薬ですら、咳止めは効果がないと言われていますし、異物を排除しようとする生体防御反応を止めてしまうのは、症状の緩和を遅らせてしまう可能性もあります。ただ、先述したように、子どもの咳には鼻水のたれこみや痰が絡むことによるものが多く存在します。そのため、痰を出しやすくする薬やアレルギー薬で咳が収まることが多くあります。どちらにせよ、咳止めのための市販薬を自己判断で使用することはおススメしません。
鼻水の吸引(鼻汁吸引)
鼻水のたれこみによる咳には、鼻をかませたり吸引で鼻汁を吸い取ることが効果的です。子どもの鼻水のホームケアに関しては、次回お伝えします。
子どもの咳に対するナーシングポイント
- なによりも加湿をしっかりと行うことが大切です。しかし、加湿器は常に清潔に保ちましょう。メンテナンスをせずにカビている場合などは逆効果になってしまいます。
- 部屋や体を温めすぎると咳が酷くなりますので、少し薄い布団に変えて寝かせることも効果的です。
- 咳が酷くて眠れない場合には、姿勢をしっかり整えてあげてください。赤ちゃんであれば、抱っこの方が眠れるかもしれません。
- 内服はおススメしませんが、塗り薬はスーッとして鼻が通るため、鎮咳効果がみられます。アメリカにもありますよ。我が家はターゲットのジェネリックを使用しています。
- 風邪には内服よりもはちみつが抗菌・抗炎症効果もあり、効果があるると言われています。はちみつレモンにして飲ませてあげたりハニーキャンディーも効果的です。特に、お値段は高いですがマヌカハニーは効果を感じやすいです。ただし、1歳未満の乳児には厳禁です
- はちみつを選ぶ際には効果を考えると無添加・非加熱のものがいいですね。

まとめ
- 咳だけでなく風邪には加湿が大切です。特に寝室は日ごろから加湿を心がけましょう。
- 内服よりも無添加のはちみつを試してみてください。ただし、1歳以下の乳児には厳禁です。
- 呼吸が苦しそうではないかの観察がとても大切です。
- 受診の際は、どのような種類の咳なのか(乾いた咳、ケンケンする咳、痰が絡んだ咳など)、いつ出ることが多いのか(朝、日中、寝ているとき、明け方など)を伝えられると診断がスムーズになります。

ここではコロナが陰性である前提でのお話でしたが、コロナが陽性であっても、咳の症状には基本的には同じホームケアで大丈夫です。咳はとても苦しくつらいものなので、適切にホームケアを行って症状を軽快させてあげてください。

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